ガイド

コーディングエージェントの夜間ワークフロー

約束はシンプルです。タスクのリストを残して寝れば、朝にはプルリクエストができています。ところが最初の試みの多くは、違う結果に終わります。誰もレビューできない巨大な差分が1つできていたり、エージェントが午前1時から質問待ちで止まっていたりします。違いを生むのはモデルではありません。作業の渡し方です。ここで紹介するのは、朝にレビューできる成果が残るワークフローです。

新しい外部の協力者に頼むようにタスクを書く

夜間のタスクには、質問できる相手がいません。必要な背景はタスク自体に含める必要があります。各タスクは1段落に収め、3つの問いに答えるようにします。何が間違っているか、何が足りないか。完了とはどういう状態か。それをどう証明するか。

## Task: paginate the /orders endpoint
Problem: GET /orders returns every order. Large accounts time out.
Done: accepts ?cursor and ?limit (max 100), returns next_cursor.
Proof: new tests in tests/orders_pagination.test.ts pass; existing tests pass.
Do not: change the response shape of existing fields.

タスクは小さくします。人の作業で2〜4時間分がちょうどよい大きさです。それより大きければ分割します。エージェントが20分で終えるタスクでもかまいません。タスクは、リポジトリ内のファイルか、エージェントが読めるissueに書きます。ファイルがいちばん簡単です。

1タスク、1ブランチ、1 worktree

タスク同士で作業ツリーを共有してはいけません。2つのタスクが同じチェックアウトを編集すると、誰も解きほぐせない差分ができます。Gitのworktreeを使えば、同じリポジトリでタスクごとに専用のフォルダを持てます。

git worktree add ../work/orders-pagination -b agent/orders-pagination
git worktree add ../work/retry-webhooks -b agent/retry-webhooks

ブランチごとにエージェントを1回実行し、プルリクエストを1つ作ります。朝はそれを1つずつレビューします。1つが駄目でも、それを閉じるだけで、ほかには影響しません。

エージェントが単独でしてよいことを決める

権限モードと拒否リストは、最初の実行のあとではなく、前に設定します。正確な設定はClaude Codeを無人で動かすガイドにあります。夜間作業向けに短くまとめると、こうなります。ファイルは自由に編集してよい。テストスイートは自由に実行してよい。タスクのブランチへのコミットとプッシュも自由にしてよい。プルリクエストを作成する。それ以外は確認が必要で、リポジトリの外に及ぶことは一切しない。

実行ループ

小さなスクリプトで、タスクごとにヘッドレス実行を1回ずつ始めます。実行はそのタスクのworktreeで行い、ターン数の上限とログファイルを付けます。必要なのはこれだけです。

#!/bin/sh
# run-overnight.sh: one agent run per task file in tasks/
for task in tasks/*.md; do
  name=$(basename "$task" .md)
  dir="../work/$name"
  git worktree add "$dir" -b "agent/$name" 2>/dev/null
  (
    cd "$dir" || exit 1
    claude -p "Complete the task in $task. Commit on this branch, push it, and open a pull request with gh pr create. Stop when the tests pass or when you are blocked, and say which." \
      --permission-mode acceptEdits \
      --max-turns 80 \
      > "../logs/$name.log" 2>&1
  )
done

SSH接続に左右されないよう、tmuxの中で実行します。タスクは1つずつ順に動きます。並列実行もできますが、CPUとレート制限を奪い合い、ログも読みにくくなります。まずは順番に実行してください。

判定はテストに任せる

プロンプトでは、テストが通ったら止まるようエージェントに指示しています。その後、CIがプルリクエストで同じテストを実行します。エージェントが成功したと言っても、CIが失敗を示していれば、差分を1行も読む前に分かります。mainを保護し、このチェックなしでは何もマージされないようにします。これはこのワークフローでいちばん価値のあるガードレールで、しかも費用はかかりません。

朝のレビューは10分

  • プルリクエストの一覧を開き、タスクリストと数を照らし合わせます。足りないものの理由はログにあります。
  • ブロックされて止まったもののログを読みます。たいていは認証情報の不足か、曖昧なタスクです。直すのはエージェントではなく、タスクの文章です。
  • 成功したプルリクエストを、小さいものから順にレビューします。正しいものはマージします。間違っているものは理由を1行書いて閉じ、その1行を明日のタスクファイルにコピーします。
  • マージ済みのworktreeとブランチを削除し、今夜をきれいな状態で始められるようにします。
git worktree remove ../work/orders-pagination
git branch -d agent/orders-pagination

最初に任せる作業

夜間に向いている作業と、そうでない作業があります。まずは次のものから始め、信頼が積み重なるにつれて範囲を広げてください。

  • 期待する動作がはっきりしている、失敗するテストや不安定なテスト。
  • テストスイートで判定できる依存関係のアップグレード。
  • 多数のファイルにまたがる機械的なリファクタリング。
  • すでに動いているコードへの、不足しているテストの追加。
  • 型エラー、lintエラー、非推奨の警告。

設計の判断、課金や認証に関わるもの、テストで検証できないものは、日中に回します。日中なら質問に答えられるからです。

土台となるマシン

これはすべて、午前4時にもマシンが動いていることが前提です。夜間実行が何も生まない原因として最も多いのは、ノートPCのスリープです。ご自身のMacならスリープのガイドで解決できます。ホスト型のエージェント用Macなら、最初から解決済みです。

よくある質問

エージェントは一晩でいくつのタスクをこなせますか?

+

順番に実行する場合、2〜4時間の大きさのタスクなら、たいてい4〜8個です。テストの実行時間と、プランのレート制限によって変わります。タスクが曖昧だと、数よりも先に品質が落ちます。時間はタスクの文章に使ってください。

同じバックログでClaude CodeとCodexを動かすべきですか?

+

同じタスクでは動かさないでください。それぞれに別のタスクと別のworktreeを割り当てます。1つのタスクで両方を動かすと、競合するプルリクエストが2つでき、レビューの手間が2倍になります。

エージェントがタスクよりはるかに多くを変更するプルリクエストを作ったら?

+

それを閉じて、タスクに「Do not」の行を追加します。範囲の膨張は夜間に最もよく起きる失敗で、直すべきはタスクの文章です。ターン数の厳しい上限も役立ちます。

エージェントに自分のプルリクエストをマージさせてよいですか?

+

できますが、させるべきではありません。mainを保護し、人によるレビューを必須にしてください。このワークフローの要点は、朝にすっきりした頭でレビューすることです。

関連ガイド